ゆるゆるフリーランスデザイナーの日記

「逃げること」を許してくれる本たち

某企業の女性社員が自殺したニュース。

その会社の中のことも、女性社員のこともニュースで見た情報しか知らないので想像でしかないのだけれど、彼女に逃げることを許してあげて、面と向かって「逃げていいんだ」と言ってあげる人がいなかったのかなぁと思うと、やるせない気持ちになった。

 

仮に誰かが「逃げていい」と、

家族が「辞めて帰っておいで」と言ったとしても、

彼女自身がそれを自分に対して許してあげられなかったのかもしれない。

 

東大に入って、誰もが知る大企業に入って。優秀であるが故に、世間一般でいう「道を外れる」ことへのハードルが高くなる。

 

きっと今まで逃げたことがなかったのではないか。どれだけ努力すれば東大に入れるのか、どれだけ努力すれば大企業に入れるのか。

真面目に、ひた向きに、逃げずにきたからこそ、彼女は東大出身の大企業の正社員になれたのではないか。

 

そういう、優秀な人ほど、人生において「逃げる」という経験をしてこなかった傾向にあると思う。

 

私は彼女のように優秀ではないけれど、勉強ばかりする学生生活を送って、新卒で広告関連の会社に入って、病んで、死にたくなって、会社を辞めて実家に帰った人間です。

精神科でもらった薬を飲みながら会社に行くようになって、母親に電話で「辞めて帰ってきなさい。」と言われても、折角東京の大学に入れてもらって就職できたのにニートになって帰るのが申し訳ない&世間的に許されることではないと思っていたから、すぐに辞めることができなかった。

 

それに辞めるというのが怖かった。入社して3年も経たずに辞めるのは「逃げ」だと思って、その、逃げるという選択肢に手を伸ばすが怖かった。

今まで自分が積み上げてきたものが全部ダメになるようで、元に戻れなくなるようで、自分は義務教育での勉強しかできない、社会不適合者なのだと思われそうで、怖かった。

 

そんな時、藁にも縋る思いで何冊か本を読んだ。

そこには「逃げた方がいい」という言葉と、具体的な逃げ方が書いてあった。

 

「あぁ、こんな風にいろんなことから逃げても全然生きていけるんだな」

 

元々何でも自分でやるべきと思っているタイプなので、人に相談したり頼ったりするのが苦手だった。だから、本に助けてもらうというやり方が合っていたのかも。

思い詰めて病んでしまう人は、人を頼ることに慣れていない人が多いから、そこで「すぐに誰かに相談しなきゃ!」と言われても、相談すること自体がストレスになると思います。

まだ本を読む余力が残っている人は、下記の本を参考にしてみてください。

 

 

20代で隠居 週休5日の快適生活

20代で隠居 週休5日の快適生活

 

 

二冊とも会社を辞めるとかいうレベルではなく、「働きたくない」を徹底追及しているような本で、この振り切れ具合がその頃の私には、病院で出される薬よりもずっと効いた。

 

新装版 こんな僕でも社長になれた

新装版 こんな僕でも社長になれた

 

 あと、この本、逃げる天才(主観です)家入さんが会社を作るまでの話で、一見ビジネス書?自己啓発?って思われるかもしれないんですが、そんな固い感じではなくて。

その作った会社も「もういいかな」ってなったら人に渡して、自分は抜けてまた新しい会社作って抜けての繰り返しで、たぶん世間的に責任感がないだとか批判の的となるでしょうけど、病んでるときに読むとちょっと気持ちが軽くなります。

 

ちなみに家入さんは何年も前からずっと「死ぬくらいなら逃げろ」と言っていて、クソ真面目人間だった私には当時すごく新しい発想だなぁと思って、おかげで逃げる筋肉が育ったかなぁと思ってます。

 

仕事文脈 vol.3

仕事文脈 vol.3

 

こちらは「逃げる」とは少し違うけど、「女と仕事」をテーマに、いろんな女性の「働く」に関するインタビューが読めます。こういうのって成功しているバリキャリの女性ばかり載っているイメージですが、こちらは派遣社員とか本当に「普通の人」の「普通な話」ばかりで、「こんなことを考えて仕事してるんだなぁ」というのが知れるのがいいです。「こんなこと考えているのは自分だけでは」という思い込みが病みへの始まりにもなるので、肩の力が抜けます。

 

れんげ荘 (ハルキ文庫 む 2-3)

れんげ荘 (ハルキ文庫 む 2-3)

 

 こちらは小説で、40代のバリキャリ女性が貯金が貯まったので仕事を辞めてボロボロのアパートで隠居する話。そんなうまくいかないだろうよ…と思うところも多々あるけど、結婚をしないで自分の貯めたお金を自分の人生だけに使うという生き方を楽しく書かれていて、「こんな生活したいな」と思わせてくれる一冊。

 

サラバ! 上

サラバ! 上

 

「生きること」と「幸せ」について教えてくれる小説。本当に自分の人生にとって大事なことは何かを、一人の男性の人生を通じて考えさせてくれます。

仕事に撲殺される時間より大切なものは? 人によって幸せや大切なものは違うから、どの本を読んでも答えは書いていません。だから、この本を読んで、一緒に考えてほしい。

 

最後にこれ。

星の王子さま (新潮文庫)

星の王子さま (新潮文庫)

 

 何回読んでも意味がわからなかった本。「あー死にたいー働きたくないー何のためにこんな働いてるんだー」となっていた時に星の王子さまの舞台を見に行って、「大切なものは目に見えない」という言葉がすとんと落ちてきて、一気に意味を理解した。

この本を理解して、仕事やめよ~という決心がついたので、まだ考える余力がある方は手に取ってほしいです。

 

 

仕事にほとんどの時間を取られて、本を読む気力なんてないかもしれないけれど、「こんな生き方もあるんだなぁ」と感じられれば、逃げることへの躊躇が減ると思う。

 

逃げるというのは一種の技術だから、身につくまで時間がかかる。頭でわかっていたり、友人に何か言われたりしてすぐできるものじゃない。

ただでさえ、真面目に、道を外れないで生きてきた人は、逃げる技術を持っていない。

 

逃げる技術を身につける手段として、上記のような本を読むのは有効なんじゃないかぁと思います。

ただ、本には「答え」は書いていないです。(ビジネス書とかは書いてるんだと思いますが)

人によって感じ方とか、大事なものだとかが違うから。

だから、本を読んで考え方を広げて、そこから自分で自分なりの答えを探してほしいなぁと勝手に思っています。見つけると、きっと、つよいです。

 

 

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仕事なんかで命を落とす人がいない社会だといいです。